統計物理における2次元臨界現象を記述する道具として,SLE(シュラム・レヴナー発展) なる確率場が知られている.SLEは,単連結な平面領域に定義される「共形不変な」ランダム曲線である.従前,それを多重連結領域へと拡張する試みが散発的になされてきた.本研究の目的は,それらの試みを統合する横断的理論の構築である.4つの異なる既存理論を関係付け,臨界現象に相当する共形不変確率場の構造の解明を目指す.