肺動脈性肺高血圧症(PAH)は末梢の肺動脈が狭小化することで肺血管抵抗が上昇、右心不全が進行する致死的疾患である。主な病態は肺血管平滑筋・内膜の異常増殖(リモデリング)だが、これらに対する治療戦略は開発途上である。活性酸素種の消去に関わるサイトグロビン(Cygb)は血管平滑筋に多く発現し体血管の平滑筋・内膜リモデリングを活性化するが、肺血管においてはCygbが平滑筋・内膜リモデリングに及ぼす影響は不明である。本研究では、Cygbの発現を抑制したPAHラットモデルを作製しCygbの肺血管における生理学的役割とPAHの肺血管リモデリング病変に及ぼす影響について検証し、新規治療法の開発を目指す。