急性散在性脳脊髄炎(acutedisseminatedencephalomyelitis:ADEM)患者と配偶者の退院前後のQOLと不安

この論文をさがす

説明

SEIQoL-DW尺度日本語版の開発以降,神経難病患者やその家族を対象にした報告は散見されるものの,回復が期待される疾患での調査は少なく,急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis:以下ADEM)での報告は見られなかった.今回,ADEM患者(70歳代男性)と配偶者(70歳代女性)に対するSEIQoL-DWを用いた半構成的面接法,日本版STAIからの20項目のアンケートおよび患者しびれ感へのVASスケール評価を併用して,退院前後の療養者(患者および家族)の不安とQOLの変化を追うことができた.  SEIQoL-DWインデックスでは,患者は退院前88.8,退院後80.0であり,妻は退院前91.2,退院後74.2であった.患者の足のしびれ感はVASスケールで,退院前42,退院後80であった.STAI項目では,患者と妻に差異があり,妻の不安・不満が示唆された.退院前後でSEIQoL-DW等を行うことで,患者および家族が抱える不安内容を把握することができた.また,退院前後でレスポンスシフトが生じた可能性があった.今後,良性疾患で退院前には比較的高いQOLが示唆されたとしても,退院後を含めた継続的な支援が包括的な患者や家族のQOL向上に必要と考えられた.

収録刊行物

  • 三重看護学誌

    三重看護学誌 14 (1), 97-103, 2012-03-15

    三重大学医学部看護学科

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ