西表島・石垣島の谷部に生育するサキシマスオウノキ林の構造について

書誌事項

タイトル別名
  • Stand Structure of Looking-glass Tree (Heritiera littoralis) Forest in Small Valleys on Iriomote and Ishigaki Islands
  • イリオモテジマ イシガキジマ ノ タニブ ニ セイイク スル サキシマスオウノキリン ノ コウゾウ ニ ツイテ

この論文をさがす

抄録

サキシマスオウノキ(Heritiera littoralis)は通常マングローブの後背湿地や海岸付近に分布する。しかし, 石垣島於茂登岳山麓の宮良川上流域の沢沿い(標高50~80m)に加えて, 西表島ユツン川北西に位置する沢沿いの斜面(標高30m~70m)にもサキシマスオウノキが分布することが明らかになった。そこで, これら2つの林分と浦内川の後背湿地にみられる林分とを比較するため, 胸高直径5cm以上を対象とした毎木調査を行った。於茂登やユツン北西のサキシマスオウノキは, 沢沿いで直径25cm以上もある礫の堆積地に分布していた。浦内の湿地林分では, 出現種類数が28種であったのに対し, 於茂登やユツン北西ではそれぞれ57種, 45種と多く, α多様性も高い値を示した。サキシマスオウノキは林冠層において全調査区共通の優占種となっていた。その他の樹種では, 於茂登やユツン北西では常緑高木種のイタジイの相対優占度が高く, 浦内に多くみられた湿地性のサガリバナは出現しないなど, 立地による違いが現れていた。高木層が多様な種によって構成される於茂登やユツン北西では, 他種間との競争があるため, サキシマスオウノキの樹高もより高くなる傾向がみられた。

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 71 35-43, 1999-12-28

    京都大学大学院農学研究科附属演習林

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ