小学校体育授業における遊びの要素の機能の変化に関する研究

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  • A Study on Function Change of Play in Elementary Physical Education

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説明

本研究では、小学校体育授業で、R・カイヨワの遊びの理論から、競争(アゴン)、運(アレア)、模擬(ミミクリー)、眩暈(イリンクス)の4つの遊びの要素が、単元の中でそれぞれどのように機能的に変化していくのか、また相互作用していくのかを授業実践から分析していく試みである。研究方法は、授業終了後に児童が記入している「振り返りシート」に記述された文章を中心に内容分析を行った。分析の結果、アゴン・アレア・ミミクリー・イリンクスのそれぞれの遊びの要素の機能が、学習が進むことによって、それぞれに質的変化が起きることが明らかになった。アゴンの要素は、他者との競争から自己との競争へ、さらに、集団での協同へと質的変化が起きたといえる。アレアの要素は、勝敗という未確定な状況における情緒的な楽しみから、具体的な目標に挑戦することでアゴンの要素が混在する質的変化が起きたといえる。ミミクリーの要素は、他者の動きをマネするという直接的な機能から、類似する動きをイメージしてマネする間接的な機能に質的変化が起きたといえる。イリンクスの機能は、身体への集中度、あるいは身体を解放する機能が、走り方という身体技術の追求によって心地よさと惑乱から得られる感性的な楽しみを消失させてしまうという質的変化が起きたといえる。また、それぞれ独立して機能しているようにみえる4つの遊びの要素は、小学校体育の学習のめあてと相互作用により、それぞれの機能の質的変化を促進していると推察できる。

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