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- アルカリ処理米粉を添加したパン生地の製パン性評価
- アルカリ ショリ コメコ オ テンカ シタ パン キジ ノ セイパンセイ ヒョウカ
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Abstract
市販の米粉を0.2%水酸化ナトリウム水溶液で処理することにより,タンパク質および損傷デンプン含量の少ない米粉を得られた。この米粉では希アルカリにより従来の米粉の粒子の複粒状態が崩壊し,粒子表面が滑らかで全ての粒子が粒径の小さい単粒デンプン状態になっていた。この粉の製パン特性を詳細に検証するため,強力粉100%,ゆめちから粉100%,ゆめちから粉の30%をそれぞれ市販米粉およびアルカリ処理米粉で置換した米粉添加ブレンド粉からパンを製造し,製パン性の評価を行った。その結果,Y+RAのGRDとSLVはY+Rと比較して有意に高く,それらはYに次いで高い値であった。Y+RおよびY+RAのパンの外観の色相はCやYより薄い傾向であり,特にY+RAはL*が高くa*が低く薄い焼き色を示した。テクスチャー解析ではY+RAのクラムの硬さはY+Rと比較して柔らかい傾向にあり,保存1日後以降もYに次いで柔らかく推移した。凝集性はY+Rが1日後以降にY+RAに比べ有意に低く,クラムの復元力が全てのパンの中で最も弱かった。破断解析ではY+RとY+RAの破断荷重および破断歪率は,Yより有意に低くCと比較しても低い傾向であり,グルテンタンパク質含量の低下によりクラムの構造が脆くなっていることが示唆された。クラムの糖類含量では,Y+RAは還元糖量の減少に伴い各種糖含量が減少した。Y+RのパンではRFの含有するα-グルコシダーゼによりマルトースからグルコースが生成することから,C,Y,Y+RAと比較してグルコース含量が顕著に高く,マルトース含量が顕著に低い値を示した。パンの官能評価では,外観ではY+RAは,クラストの色相が薄く色相評価が最も低くなったが,ボリュームや形状の評価はYに次いで高く,パンの内相は,Y+RAの色相が最も高い評価であり,総合評価ではY+RAはY+Rより有意に高く,CおよびYと同等の評価であった。本研究の結果,適当量のアルカリ処理米粉を超強力粉と置換して製パンを行うことにより,従来の米粉置換より優れた品質の米粉添加パンの開発が可能であることが示唆された。
Journal
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- 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology
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日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 69 (3), 127-136, 2022-03
つくば : 日本食品科学工学会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050016494531022976
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- NII Book ID
- AN10467499
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- ISSN
- 1341027X
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- NDL BIB ID
- 032032455
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- journal article
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- Data Source
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- IRDB
- NDL