同時バイリンガル幼児の萌芽的読み書き行動の形成過程

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タイトル別名
  • Developmental processes underpinning a simultaneous bilingual preschooler's emergent biliteracy
  • ドウジ バイリンガル ヨウジ ノ ホウガテキ ヨミ カキ コウドウ ノ ケイセイ カテイ

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研究論文

本稿では、同時パイリンガル幼児が二言語で萌芽的読み書き行動(EL行動)を形成していく過程を独日国際家族の事例に基づいて検討した。日本人母親が記録した2年間の日誌データを「他者との協働」と「媒介物」に着目して分析した結果、対象児の二言語でのEL行動の形成過程について、次の3点が明らかになった。第一に、対象児は文字の読み書きをしたがる前から二言語で文字が持つ機能の一側面を理解しており、活動に周辺的に参加する過程で理解を拡大していった。第二に、ルーティン化された活動での重要な他者による誘導と対象児の主体的な参加を通してEL行動が生起している点は二言語で共通でも、ドイツ語では年長児の模倣から書き行動が始まり、日本語では母子間での絵本に媒介された活動の中で読み行動が始まるという違いもあった。第三に、言語固有の文字の読み書きを試してそれに習熟していく過程と内言の基礎を育む過程が同時進行していた。萌芽的パイリテラシー形成過程は、各言語技能の習得という観点からだけでなく、内言の先行形態である自己中心語の形成という観点からも検討することの重要性が示唆された。

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