現代の心理療法における「コミットメント」をめぐる諸相─オリジナルとテンプレート─

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  • Aspects of commitment in modern psychotherapy ─Loss of originality and template─

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抄録

高度情報化社会では、心の投影の引き受け手であった聖地や未知なる場所は、世界規模で共有かつ消費され、その結果、個人の内的な世界を投影可能なリアルな場は世界から失われつつある。個人の生きる物語は、本来、この感情や情動によって心の深い部分が揺り動かされる体験を通して育まれるが、その体験を得ることが困難となっている。そして、それは個人を定位させる他者の不在とも言い換えられる。他者不在の世界は人に不安を喚起し、その結果、人は現実生活の中で目に見える狭い世界の中で生きるようになる。このような時代において個人の生きる物語は、ボーカロイドや異世界転生の物語のようなある種のテンプレートの形式を繰り返す中で「コミットメント」が生じ、形成されて行く可能性があるのではなかろうか。

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