心理臨床における「普通」についての文献展望

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タイトル別名
  • Literature Review of “Ordinary” in Clinical Psychology
  • シンリ リンショウ ニ オケル 「 フツウ 」 ニ ツイテ ノ ブンケン テンボウ

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抄録

「普通」は臨床場面でよく語られる言葉であり,「普通」に合わせることの不適応が報告されているが,「普通」という日常語について体系的に論じた先行研究は見たらない。そこで本研究では,「普通」という言葉が指す意味や,不適応状態と結びつきやすい「普通」,そして今後の研究課題を示すことを目的に文献レビューを行った。その結果,「普通」は一般的には,ポジティブで安心感と結びつく言葉であるが,社会通念の意識や他者との比較をした際には,命令的規範や記述的規範と結びつき,ネガティブで不安定をもたらしうる言葉となることがわかった。心理臨床においては,規範的な「普通」ではなく,自分をそのまま認める新たな「普通」を作り直すことや,「普通」自体と距離をとることが1 つの目標になると考えられた。今後の研究課題として,属性による「普通」への特有の影響や,立場による「普通」の意味・構造の変化を検討することが挙げられた。

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