「善悪の判断」記述からみる 小学校低学年道徳科教科書の教育論についての一考察 ー 乳幼児期から児童期初期にかけて ー

機関リポジトリ オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Seen from the description of “judgment of right and wrong” A Study on Educational Theory in Lower Elementary School Morality Textbooks - From infancy to early childhood -

この論文をさがす

抄録

本研究は,乳幼児期から児童期初期を対象に,道徳教育において重要な価値である「善悪の判断」に焦点を当てたものである。善悪の判断に関する子どもの発達特性と,教育の方向性を確認した結果,(1)人間関係の状況(2)善悪判断の根拠(3)子どもの主体性の三つの視点を抽出した。これらの視点が,道徳科の教材の中でどのように活用されているのかについて明らかにしていくことを本研究の目的とした。小学校低学年の道徳科における28の教材を分析した結果,「身近な友達との関係性」が重要視され,「相手の情動を推測する手がかり」が善的な行動の実施に繋がることが明らかとなった。また,乳幼児期から幼児期にかけて「主体的な行動へ発達」する様子が扱われていたが,善的な行動に「大人の影響力」が及ぼす教材はなかった。子どもの発達特性と教育の方向性は,互いに影響しており,特に他律からスタートする善悪の判断に至っては,他者との関係の中で,子どもの発達を見通した学習の必要性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ