財布探し課題における不通過反応の要因分析

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タイトル別名
  • Analyses of Inadequate Performance by Adult Respondents on the Plan of Search Test Adopted in the Kyoto Scale of Psychological Development
  • サイフ サガシ カダイ ニ オケル フ ツウカ ハンノウ ノ ヨウイン ブンセキ

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説明

財布探し課題は、受検者に対し、短い草で覆われた広い運動場のどこかに落とした財布を見つけるための探索路を運動場に見立てた菱形の中に描くよう求めるものである。通過基準の1 つは、描かれた探索路が提示図全体をくまなく覆っていることである。この課題は9 歳から12 歳頃のプランニングの発達を調べるものとして評価されているが、成人でも提示図全体を探索路で覆わない不通過反応が生じることが知られている。そこで、財布探し課題遂行中の言語プロトコルと事後に課題に関する質問調査をおこない、成績との関連を調べた。その結果、財布探し課題の成績と探索空間イメージに関連があることがうかがえた。次に、教示が探索空間イメージに与える影響を調べるために、教示条件を操作し、成績および探索空間イメージとの関連を調べた。さらに、財布探し課題の成績と他の成人向け課題の成績、および財布探し課題の成績と探索空間イメージとの関連についても調べた。その結果、本研究での教示変更は財布探し課題の成績に影響を及ぼさなかった。また、財布探し課題の成績と他の成人向け課題の成績に関連はみられなかった。一方で、財布探し課題の成績と探索空間イメージには関連がみられ、成績のよい者の方が教示情報を課題意図に合うようにとらえていた。本研究の結果から、大学生における財布探し課題の不通過反応は、検査課題の意図に対する検討不足や他者への伝達における配慮不足を示している可能性が考えられた。

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