高齢者疑似体験演習を生かした老年看護学実習での学びに関する検討― 学生の記録の分析を通して ―

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説明

本学の 2 年次で行う, 高齢者の日常生活を理解するための高齢者疑似体験演習が, 3 年次での老年看護学実習Ⅰでどのように生かされているのかを学生自身の言葉から明らかにし, 今後の演習や実習の方法に対する示唆を得ることを目的として, 老年看護学実習Ⅰの実習終了後に提出されたレポートに記載された内容を対象の理解, ケアへの発展, 気づきの視点で分析した.  その結果, それぞれ 1) 「高齢者の実際の生活を見て体験を思い出し実感したこと」 (2) 「ケアプランを立て, 実際の援助場面で心がけて実施したこと」 (3) 「全般を振り返り感じたこと」 に大別された.  学生は疑似体験演習で体験した, 加齢によって, 身体的変化が日常生活にどのように影響を及ぼすのか, 実際の高齢者を目の前にして関わるときに思い起こし, 高齢者の気持ちを考えて関わりの工夫をしていた.  またあるときは自分の関わり方では相手に届かないことを実感して, 個別に臨機応変に発展させ試行錯誤しながら, 疑似体験演習での学びを学生の個性的であり独創的な看護になるよう相違工夫していることが明らかになった.  今後疑似体験演習での学びをより生き生きと実習の中で活かし, 高めることで高齢社会に対応できるような看護職を育てていけるようにするためには, 個々の学生の疑似体験演習での学びを教員が理解しながら, 実際のケアの場面で適切な助言をしていくこと, カンファレンスにおいて学生の学びを発展させていくことなどが必要である.

収録刊行物

  • 三重看護学誌

    三重看護学誌 10 13-22, 2008-03-05

    三重大学医学部看護学科

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