真空調理法および通常調理法を用いた根菜煮物のできばえの比較

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タイトル別名
  • Comparison of the quality of root vegetables stewed using vacuum cooking and ordinary cooking methods
  • シン クウチョウ リホウ オヨビ ツウジョウ チョウリホウ オ モチイタ コンサイ ニモノ ノ デキバエ ノ ヒカク

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抄録

真空調理法は、食材を調味液とともに真空包装後、加熱するため、風味や栄養損失が少なく、軟らかく仕上がる調理法である。また、真空包装時に、調味液を生の状態の食材に浸透させることができるため、少ない調味料でも味を均一につけることができる。この真空調理法(以下、真空)を用いて、根菜類を材料に、塩分又は糖分濃度を変化させた煮物を作製し、通常調理法(以下、通常)で作製した煮物とのできばえを、中心温度、色差、破断強度の測定と官能評価で比較した。なお、根菜類の材料には、里芋、じゃがいも、大根を、調味料は、こいくちしょうゆ、砂糖、酒を使用した。また、調味液濃度は、里芋及びじゃがいもは、塩分5% と糖分5% を、大根は塩分2.5% と糖分2.5% を基準濃度とした。官能評価は、食材の形、色、香り、味、軟らかさ、総合評価の6項目を5段階評点法で比較した。 その結果、中心温度は、いずれも通常に比較して真空は温度上昇が緩やかであった。食材表面の色は、いずれも真空に比較して通常で、色が濃く、調味液濃度の違いによる色差が大きくなった。また、真空と通常の間に「おおいに」あるいは「非常に」色差がある傾向がみられた。破断強度は、里芋及びじゃがいもでは、破断応力、歪率、エネルギーともに、通常に比較して真空の値が小さくなった。大根においても、破断応力、エネルギーは真空の値が小さくなった。したがって、真空調理法を用いると軟らかく仕上げることができることが明らかになった。官能評価では、里芋及びじゃがいもは、通常に比較して、真空の軟らかさ及び総合評価の評点が有意に高く、味の評点も高くなる傾向にあった。大根においても、軟らかさ及び総合評価の評点は真空が高くなる傾向にあった。以上のことから、真空調理法を用いて作成した煮物は、通常調理法に比較して軟らかく、食材表面の色は少し薄くなるものの、美味しく仕上がることが明らかになった。

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