『経済学批判要綱』における資本蓄積論について

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タイトル別名
  • ケイザイガク ヒハン ヨウコウ ニオケル シホン チクセキロン ニツイテ
  • On Accumulation of Capital in Grundrisse

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説明

『経済学批判要綱』「資本一般」には資本蓄積論は含まれていないとする所説に対して,『要綱』での資本蓄積論は,「諸資本の蓄積」の論点だけでなく,「資本一般」次元でも「先行的」=「本源的蓄積」論として構想され,それに基づく「剰余資本」の考察を通じて,「どのように剰余価値から資本が生じるか」との『資本論』第一部第7篇第22章の問題が,「資本は賃労働を生産する」の論述を通じて,第21章の「資本関係の再生産」の問題が解明されようとしていることを明らかにした。それを前提とする「歴史的」な「本源的蓄積」の論述によって,第24章の「資本制的蓄積に先行する『本源的』蓄積」の解明に進んでおり,さらに,蓄積と労働者の「窮乏」の関連や,「剰余資本」と対にした「剰余人口」の論述により,第23章の「資本制的蓄積の一般的法則」についても基本的論点は把握されていることも示した。そして,『要綱』蓄積論は,資本の循環運動視点に立脚しているが,資本循環論の一部を構成するものではなく,資本蓄積論の原型であると主張した。

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