ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)副腎における形態計測学的および免疫組織化学的検討

書誌事項

タイトル別名
  • Histomorphological and immunohistochemical studies of the adrenal gland of the jungle crow (Corvus macrorhynchos)

この論文をさがす

説明

ハシブトガラスの副腎について、形態計測学的および免疫組織化学的検討、すなわち、肉眼的観察、光学顕微鏡による組織解析、皮質と髄質の分布様式の解析、皮質と髄質の割合測定、そしてカテコールアミン合成に関わる酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)の免疫組織化学的解析を行なった。肉眼的観察の結果、ハシブトガラスの副腎の形状、重量、長さ、幅、厚さは、左右で異なっていた。クロム染色の結果、ハシブトガラスの副腎におけるクロム親和性組織(副腎髄質)と親和性を持たない組織(皮質)は、哺乳類のように明確な層を成してはおらず、混在した構造を成していた。副腎のおよそ85%が皮質、14%が髄質、残り1%は類洞であった。アザン染色の結果、皮質の組織は比較的小さい(直径約3.4μm)卵形状の核を有し、柱状の細胞が配列した構造を成していた。髄質の組織は、柱状の細胞が様々な大きさの集合体となり、副腎組織中に島状に散在していた。髄質の細胞の核は、比較的大きく(直径約4.0μm)、円形を呈し、各細胞のほぼ中央に位置していた。免疫組織化学の結果、TH免疫陽性細胞は、クロム親和性細胞と同様の分布様式を示し、全ての副腎髄質細胞がTH陽性であると考えられた。以上まとめると、ハシブトガラスの副腎は、皮質と髄質の割合が約6:1であり、副腎髄質細胞はおそらく全てがTHを合成するものと考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ