高齢期の性的マイノリティ(LGBT)に関するアイデンティティ発達研究の概観 --欧米諸国における実証研究のスコーピングレビュー--

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書誌事項

タイトル別名
  • An Overview of Gender and Sexual Identity Developments among Lesbian, Gay, Bisexual, and Transgender Older Adults: A Scoping Review of Empirical Studies in Western Countries
  • コウレイキ ノ セイテキ マイノリティ(LGBT)ニ カンスル アイデンティティ ハッタツ ケンキュウ ノ ガイカン : オウベイ ショコク ニ オケル ジッショウ ケンキュウ ノ スコーピングレビュー

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抄録

近年、性的マイノリティへの関心が高まっているが、その高齢期に関する実証研究は他の発達段階に比べて限られている。本稿では高齢期の性的マイノリティのアイデンティティ発達に着目した。心理臨床実践の上で、メンタルヘルスの問題の予防やクライエントの課題へのアセスメントに有効であると考えられるためである。海外文献のスコーピングレビューを行い、これまでの知見と今後の課題を整理した結果、社会文化的・歴史的文脈の影響を重視するライフコースの観点を踏まえた研究が多くみられた。高齢期の性的マイノリティは若い世代に比べて差別や偏見の厳しい時代に青年期を送ったため、性的アイデンティティの自認やカミングアウトに慎重な傾向が示された。今後の展望として、多様性を捉えるための調査対象の拡大、過去の回想だけでなく高齢期そのものの発達過程の把握、アイデンティティ発達過程における心的過程に関する研究の必要性が挙げられた。

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