高齢者看護学におけるオレム看護理論を基盤にした看護過程演習の学習効果と課題

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タイトル別名
  • コウレイシャ カンゴガク ニ オケル オレム カンゴ リロン オ キバン ニ シタ カンゴ カテイ エンシュウ ノ ガクシュウ コウカ ト カダイ
  • Learning effect and problem by a base of Orem nursing theory in undergraduate students in gerontological nursing course

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説明

本研究は,オレム看護理論を導入したことによる学生に対する学習効果と教育上の課題を明らかにすることを目的に紙上事例を用いた看護過程演習に対する学生の自己評価を分析した.分析対象はA 看護系大学生2年生の2003~2006年の3年間に在籍した204名のうち同意が得られた183(89.7%)名の看護過程演習に対する自己評価とした.看護過程演習に対する自己評価は11項目の演習目標の達成度を自己評価するものと「オレム看護理論を基盤にした看護過程演習において難しかったこと」について自由記述で構成されている.そのデータを単純集計及び内容分析を行った.その結果,〈よくできた〉及び〈普通〉と回答した学生が多く,〈非常によくできた〉と〈よくできた〉を合わせて60%を超えた項目は“グループ討論に積極的に参加した”や“自己学習して臨んだ”“事例の健康障害と治療の特徴を理解できた”であった.一方,〈非常によくできた〉と〈よくできた〉を合わせて40%以下であった項目は,“セルフケア行為(エージェンシー)の確定”と“高齢者の発達上の特徴を健康問題の解決過程に考慮する”であった.自由記述による「難しかったこと」は,【セルフケア理論より患者をとらえること】【看護診断の過程】【演習記録用紙の書き方】【他の講義で使用する理論との違い】【“看護上の問題/看護診断”の表現】【具体的な看護援助方法】【情報収集の限界がある紙上事例】【事例の病態生理や特徴を把握すること】【具体的な看護援助方法】【看護計画の立案】【グループワークでの意見調整】【学習テーマ】の11のカテゴリーが抽出された.学生にとって高度な思考を必要とする看護過程は難易度の高い学習である上に,オレム看護理論の理解が求められることから,さらに難しい学習となっていることがわかった.基礎教育の学生にとって看護過程に必要な統合的な思考力を促進するためにはオレム看護論の理解はもとより,事例の提示方法やアセスメント用紙の形式などの工夫,改善を通して学生の到達度や理解度を高めていく必要が示唆された.

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