経験の媒質としての言語 --初期ベンヤミンにおける「経験の貧困」問題と「来るべき哲学」の構想--

HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Language as a Medium of Experience: Early Benjamin's "Program of the Coming Philosophy" as a Response to "Poverty of Experience"
  • ケイケン ノ バイシツ ト シテ ノ ゲンゴ : ショキ ベンヤミン ニ オケル 「 ケイケン ノ ヒンコン 」 モンダイ ト 「 クル ベキ テツガク 」 ノ コウソウ

この論文をさがす

抄録

「経験の貧困」問題は、現代の社会における疎外感や教育の平板化を特徴づける問題である。本稿の目的は、後期の著作のなかで「経験の貧困」という時代診断を下したヴァルター・ベンヤミンが、初期の思想形成期においてこうした問題をどのように経験し応答したのかを、彼の青年運動期の著作および初期のカント論の読解を通じて明らかにする。ベンヤミンは、認識連関の外側に真の体験を追求するような<体験の言説>から距離をとる。そして、カントの哲学が、啓蒙主義の時代以降の貧しい経験によって可能になると同時に制約されていた有様を分析したうえで、その認識論の改変を通じてより高次な経験の可能性を開こうとした。本稿は、その際にベンヤミンが、経験の認識の場を認識主観から解放し、それを媒質としての言語へと移し替えたことがもつ意味を、彼の媒質概念とともに解き明かし、「経験の貧困」に直面する現代の教育に対するその意義を示唆する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ