熟成条件の異なるドライエイジング牛肉のうま味成分の測定

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  • Research on umami taste in dry-aged beef ripened in different conditions

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牛肉における熟成の度合いやうま味成分の変化を確認するため、熟成条件や品種・部位の異なる熟成肉におけるうま味成分(グルタミン酸およびイノシン酸)を測定した。県内企業が開発した熟成庫を用い、調査1~3の条件で比較を行った。調査1: 2種類の異なる湿度(80%、85%)で熟成した和牛ウチモモ肉。調査2: 熟成開始時の環境(熟成庫に何もない状態から熟成開始、カビの生えた熟成肉の隣に新しい肉を入れて熟成開始)の異なる和牛ウチモモ肉。調査3: 品種と部位の異なる牛肉(ホルスタインロース肉、和牛トモズネ肉)。ほとんどの熟成条件において、熟成に伴い、グルタミン酸は増加傾向、イノシン酸は減少傾向を示し、30~40日ごろにこれらの濃度は逆転した。熟成の指標となる遊離ペプチドおよびK値(全核酸関連物質を占めるイノシンとヒポキサンチンの割合)は、熟成に伴っておよそ30日間増加し続けるが、それ以降は一定の値で推移した。調査1では、湿度80%と85%で熟成した肉での熟成パターンはほぼ同じであった。調査2では、熟成肉の熟成パターンおよびうま味成分量の変化は調査1と同様であり、熟成中に近隣にカビが存在することによる熟成への影響はみられなかった。調査3では、赤身の多いホルスタイン種のイノシン酸の濃度は和牛ウチモモ肉に比べて高かったものの、調査1および2の和牛と同様の変化を示した。トモズネ肉のうま味成分の変動はほとんどなく、部位による熟成過程に差が見られた。

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