警察の犯罪統計作成におけるモラルハザードについて

書誌事項

タイトル別名
  • The moral hazard affecting accuracy of crime statistics
  • ケイサツ ノ ハンザイ トウケイ サクセイ ニ オケル モラルハザード ニ ツイテ

この論文をさがす

説明

本論文は,犯罪統計の正確性に影響する,刑事警察官のモラルハザードを分析する。それは結論として,モラルハザードを次のように特徴づける。刑事警察官の犯罪捜査方法は主に被疑者の犯罪手口に基いている。そのため,複数の犯罪事件が手口の点で相互に類似している時,それらの犯罪事件はそのような手口を持つ同一犯によるものと推測され,犯罪捜査においては同一犯による一つの犯罪事件グループとしてまとめて扱われる。このような意識が,刑事警察官の精神状態を,彼らが犯罪統計を作成するためのデータ編集業務の最中でさえ支配する時,その支配された精神状態は刑事警察官に,手口の類似した捜査前の複数の事件を一つの事件として誤って計数させる傾向がある。なぜなら,そのような諸事件が同一犯によるものとして推測されているからである。そうであっても,そのような複数の事件は,統計上は,被疑者が確認されていないことと犯罪現場が空間的に分離していることによって,別個の事件として数えられなければならないのである。このようなモラルハザードが,犯罪件数を,統計上別個とされるべき諸事件をそのようなものとして扱うことに よって作成された件数よりも小さくする要因なのである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ