北欧のランスロット物語? :『美丈夫サムソンのサガ』再考

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タイトル別名
  • Lancelot Romance in the North? : Samsons saga fagra Revisited
  • ホクオウ ノ ランスロット モノガタリ? : 『 ビジョウフ サムソン ノ サガ 』 サイコウ

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抄録

論文

アーサー王伝説に題材を取ったアイスランド語による文学作品としては、アーサー王妃との不倫などのエピソードで知られる騎士ランスロット(ランスロ)を主人公とした作品は少なくとも現存はしない。一方、アイスランドで独自に物語が作られたと考えられ、複数のアイスランド語作品におけるアーサー王の名前の表記と同じアルトゥース(Artus)という名のイングランド王が登場する『美丈夫サムソンのサガ』と呼ばれる作品は、ランスロットを主人公とした大陸の作品との間で複数のモチーフの共通が指摘されているが、一般にはアイスランド独自のアーサー王文学作品とは認識されない傾向にあり、本作を扱った先行研究も少ない。そこで、本稿では『美丈夫サムソンのサガ』について、先行研究で指摘されているアーサー王物語のモチーフの大半が位置する作品前半部に焦点を当て、本作前半部の物語全体としての構造とその特徴について考察し、本作をアイスランドで独自に著されたアーサー王文学作品として位置づけることを試みたい。

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