症例「鼠男」における自我変容としての道徳性 --S.フロイトが論じた二種類の「反動形成」--

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  • 後藤, 悠帆
    日本学術振興会特別研究員・臨床教育学講座博士後期課程3回生

書誌事項

タイトル別名
  • Morality as Alteration of Ego in the Case "Rat Man": Two Types of "Reaction-Formation" of S. Freud
  • ショウレイ 「 ネズミ オトコ 」 ニ オケル ジガ ヘンヨウ ト シテ ノ ドウトクセイ : S.フロイト ガ ロンジタ ニシュルイ ノ 「 ハンドウ ケイセイ 」

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抄録

本稿の目的は、「道徳性」の発達を強迫神経症患者の「反動形成」に引きつけて論じたフロイトのテクストを検討して、超自我による強迫的な自我の支配とは異なる道徳性のあり方を明らかにすることである。第一に、超自我の理論に継承される、規範の内面化と抑圧の強化としてのフロイトの「道徳性」概念を確認する。第二に、症例「鼠男」を検討して、人の道徳的な性格への変容過程には、同一化と抑圧の機制とは別に二種類の「反動形成」が関与することを示す。「自我変容」として自我の性格が形作られる「反動形成」と、良心による自己非難を強める「反動形成」である。第三に、この二種類の「反動形成」がフロイトの教育論と超自我論にともに引き継がれる過程を辿る。最後に、自我の変容に着目する「反動形成」が、自我が超自我から独立して強迫性から離れながら、無意識の欲望を統御する道徳的態度を示しうることを論証する。

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