大学の特定事業支援政策が全学的な教育改革を惹起する効果とその到達点 : 「地(知)の拠点大学」事業(COC / COC+)の評価と実際の達成度

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  • Effects and Achievements of Special Purpose Policies in General University Educational Reforms : Focusing on the Evaluations for COC/COC+ Programs and Each University Situations

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抄録

近年の大学(高等教育)支援政策の多くは競争的かつ特定事業支援型である。すなわち、国が大枠的な目的や方向性を確定した上で各大学がその具体策を競い合うものとなっている。 一方、このような政策の背後には「全学的教育改革」という含意を見て取ることができる。これは、「学位の質保証」や「高等教育の実質化」などの観点から体系的なカリキュラムの構築や学習成果の可視化という文脈と軌を一にするものである。 本稿の目的は、特定の事業を支援する政策の効果として、①「(当該特定事業ではなく)全学的教育改革にどのような成果があったのか」、②「成果があった大学の共通点は何か」、③「充分な成果が挙げられなかったのならば問題点はどこにあったのか」、を解明することにある。 これを検証するため、本稿ではCOC / COC+ に採択された国立大学の動向に着目する。当該大学において、上記の「隠された政策意図」がどのように実現したのか、それぞれの大学がウェブサイトや報告書等を通じて発信する情報、およびCOC / COC+ 事業の外部評価結果などを分析し、上記の目的の達成を試みた。 その結果は以下の通りである。すなわち、①「多くの大学で一定の成果があり、特に成果の大きな大学においては学長のリーダーシップの下で全学のカリキュラム改革や教育資源の再配分などの成果があった」、②「成果のあった大学では全学的な意思決定や合意形成がなされていると見られるという共通点があった」、そして③「成果の乏しかった大学においては全学的な意思決定や合意形成が脆弱であり、全学的なカリキュラム改革も教育資源の再配分も遅れ気味であることが推察された」。

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