大学女子サッカー選手の試合中の移動距離とヒートマップデータに関する記述的研究 : 勝ち試合と負け試合の比較

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タイトル別名
  • Differences in Total Distance and Heat map Data of the Female Soccer Players between Winning and Losing Matches : A Descriptive Study
  • ダイガク ジョシ サッカー センシュ ノ シアイ チュウ ノ イドウ キョリ ト ヒートマップデータ ニ カンスル キジュツテキ ケンキュウ : カチ ジアイ ト マケ ジアイ ノ ヒカク

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抄録

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[目的]これまでのサッカーの試合分析では、選手の総移動距離や移動速度などが着目され、競技レベルが高くなると総移動距離や15km/h 以上の走速度での移動距離が増えることなどが報告されている。一方で、試合時における各選手のポジション位置やプレイエリアなどについての報告は少なく、これらのデータに加えて、総移動距離などのデータも同時に検討した報告はない。そこで、本研究では、大学女子サッカー選手を対象に、勝った時の試合と負けた時の試合における選手の総移動距離などの一般的なスタッツデータに加えて、ポジションやプレイエリアなどのデータを含めて、比較検討することを目的とした。 [方法] 分析の対象とした試合は、尚美学園大学で行われた公式戦2 試合で、それぞれ勝った試合と負けた試合であった。測定および分析の対象者は、両試合において、試合開始から試合終了まで出場した7 名とした。GPS機器を用いて、各選手の移動距離と移動速度を計測した。また、GPS機器で測定した位置情報からヒートマップデータを出力し、プレイエリアの面積とその面積中心を算出した。本研究では、面積中心を各選手の試合時における主なポジション位置とした。各項目の値は、前半と後半のそれぞれに分けて分析した。 [結果]本研究の結果,総移動距離については、両試合の前半(勝: 4891±706 m、負: 5228±480m、p =0.130)および後半(勝: 5067±776 m、負: 4855±619 m、p =0.188)ともに統計的な差はみられなかった。プレイエリアの面積は、勝った試合が負けた試合よりも前半(勝:2135±346㎡、負: 1941±221㎡、p =0.069)および後半(勝: 2200±457㎡、負: 1896±296 ㎡、p =0.013)共に大きかった。ポジション位置は、負けた試合(39.3±11.9m)の前半において、勝った試合(46.8±13.6m)よりも自陣に寄っていた(p =0.001) 。 [結論]これらの結果から、勝った試合と負けた試合で、前半と後半共に、総移動距離には差がみられないものの、勝った試合の時は、選手はコートに広がってかつ相手コートの近い位置でプレイできたことが示唆された。これらは、サッカーの指導書などで広く記述されているコートを広く使うことを支持する結果であった。

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