進化してきた脳と生成 AI の現在と未来

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  • Generative AI from the Perspective of the Evolutionary Process of the Biological Brain: A Review of the Present and Speculation on the Future.
  • シンカ シテ キタ ノウ ト セイセイ AI ノ ゲンザイ ト ミライ

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抄録

2023 年 9 月現在、生成人工知能(Generative Artificial Intelligence、生成 AI)は人間並みの返答を出力するようになった。この論文では、その概要を整理し、脳の構造と比較し、その現状を脳の進化の視点から評価することで、将来的に期待される汎用人工知能への展開について考察した。生成 AI はこれまで人類がインターネット上等に出力してきた、主にテキストと画像の大量データを取り込んだニューラルネットワークを基盤としている。ChatGPT(GPT-3) では 1750 億個というパラメーター数の規模となり、幾多の学習機構を通すことで大規模言語モデルとして実用レベルになった。学習後には、モデル内部では膨大な特徴量からなる回路が出来上がる。その多数が入力に対するパターンとして選ばれ、最終出力が生成される。現時点では質問文章に対して一見自然な文章出力が可能となっている。しかしながら、まだ言語の概念化ができないので対応できる範囲が限られる。一方、生体の脳は進化過程で基礎回路と言語能力を発達させた新皮質を獲得してきた。個体としては、現実世界に合わせて試行錯誤しながら学習成長して、特有の文化や言語も身につけて成体のヒト脳となる。基本設計をよくして学習を重ねて進歩できる AI は、将来的には入力内容とその処理をさらに多様にして、人と同じような概念も理解する世界モデルを獲得する可能性があるようである。

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