縄文時代の北海道南部における黒耀石の運用形態 ─ 木古内町幸連5遺跡を対象に ─

書誌事項

タイトル別名
  • Maintenance and management of obsidian in southern Hokkaido during the Jomon period: With a special focus in the Koren 5 site, Kikonai town

抄録

本論では,木古内町幸連5遺跡(縄文時代前期~後期)で出土した黒耀石製資料を対象に,石器表面の傷を分析し,黒耀石の利用のあり方を明らかにする。さらに,その結果と黒耀石原産地推定分析結果を総合的に検討することで,縄文時代の道南部における黒耀石の運用形態を考察する。  検討の結果,縄文時代の道南部では遠隔地石材である黒耀石に対して,石鏃などの傷がほとんど形成されないような短期的保持または丁寧な扱いや,尖頭器のように長期的に保持し利器として使用を繰り返す扱い,異形石器のような長期的な保持自体を目的とした扱い,といった大きく異なる運用方法を駆使していることが明らかになった。そして,このような複合的な石材の維持管理方法こそが,縄文時代における石材の広域流通や広域ネットワークを成り立たせる基盤として機能したのである。

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