反復表現の意味をめぐって
書誌事項
- タイトル別名
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- On the meaning of repetitive expressions
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説明
本稿は,反復行為には,どのような様相があり,そこにどのような意味が込められているかにアプローチするものである。筆者の心理臨床経験で出会ったクライエントの反復行為に端を発する。まず,音楽と芸術・織における反復表現を概観した後に,心理臨床における反復行為・反復表現を,事例を取り上げて考察した。 音楽においては,譜面上の工夫(反復記号)と演奏の再生に焦点を当てることで,演奏の聴き方と所有についての差異が見られた。芸術においては,模倣という反復に始まり,反復を通して逸脱して差異が生まれ,個性に行きつくことが見出された。織においては,縦糸と緯糸の交差は,生きることを意味していた。心理臨床においては,表現者により反復の意味は微妙に異なるものの,心を静めたり,自分を整えたり,自らの存在を確かめる行為としての意味があった。 総じて,反復表現には,人の介在と,生きることが通底しているといえよう。
収録刊行物
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- 放送大学研究年報
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放送大学研究年報 (42), 83-90, 2025-03-25
放送大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050585493124430592
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- NII書誌ID
- AN10019636
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- ISSN
- 09114505
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB