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  • ソウショ シンキョウ ノ リンショ
  • ソウショ シンギョウ ノ リンショ

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説明

日本で写経といえば「般若波羅蜜多心経(般若心経・心経)」を小楷で書くことが普及している。心経は小楷の技法を習得するに適した佛経だからであろうが、本来は自己の精神鍛錬のため、あるいは誰かの健康長寿を祈願するため、さらには物故者供養のために書くものであろう。このたび同僚の鷹之先生が急逝され、供養のために「張旭草書心経」を臨書した。本稿ではこれを臨書した心会と、その後に『張旭草書選』に収録する諸帖とを比較した心会を書き留める。張旭の草書に関する審美術語を整理すると、〈豪蕩感激〉〈雄古深邃〉〈謹厳〉および〈狂怪〉〈顛狂〉に帰着する。「草書心経」臨書の心会として挙げるならば、〈狂怪〉〈顛狂〉の先入観で臨書しても〈豪蕩感激〉〈雄古深邃〉〈謹厳〉の審美の境地には到達し得ないという事実がある。まさしく黄山谷がいう「狂怪の字を伝摹するは、右軍父子の縄墨に入らざる者にして、皆な長史の筆に非ず」である。故人鷹之先生(鬼神)が拙作を韓愈のように「端倪すべからず」と言って下さるか知る由もない。

収録刊行物

  • 大東書道研究

    大東書道研究 25 8-11, 2018-03-20

    大東文化大学書道研究所

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