ブタ肉の保存期間中における呈味成分、物性および電気的特性の変化

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  • ブタニク ノ ホゾン キカンチュウ ニ オケル テイミ セイブン ブッセイ オヨビ デンキテキ トクセイ ノ ヘンカ

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抄録

ブタ肉の食味性に影響を及ぼす熟成の非破壊評価法を検討するため、当場産三元交雑ブタ12頭(WL・D8頭、LW・D4頭)を用い、と殺後2、7、14および21日目における胸最長筋の物性、呈味成分と電気的特性との関係を調査した。電気的特性調査は、3種類の電極を試作し、LCRメータ(3532-50:HIOKI製)を用い、印加電圧5Vで50Hz〜1MHzの周波数範囲におけるインピーダンス(Z)、並列等価モードにおける静電容量(CP)を掃引測定した。保存期間中に、シェアバリューの低下、mK値の上昇、遊離アミノ酸の増加が認められた。インピーダンスは低周波側で新鮮なものほど大きく保存日数が長くなるにつれ小さくなり、1MHzにおけるインピーダンスの保存日数間に差がなかった。電気的特性による非破壊評価法を検討するため、WL・D8頭を校正試料としてmK値とインピーダンスとの回帰分析を行い、LW・D4頭を検証試料として予測精度を評価した。mK値とインピーダンス比(100KHz〜600KHz/1MHz)との間に、高い相関(r=0.793〜0.923)が認められた。100KHz/1MHzのインピーダンス比を用いた回帰式による予測mK値と実測mK値との相関係数(r)は0.860〜0.921、標準誤差(SEP)は、7.9〜10.4%と非破壊評価法として有効であると考えられた。電極種別間の比較では、プローブ型電極、丸型電極、はさみ型電極の順に予測精度が高かった。しかし保存期間とともに低下するシェアバリューは個体差が大きく、熟成の指標として有効でなかった。なお、インピーダンス特性はブタ肉組織の物理的破壊により失われ、凍結肉や流通段階における不適切な取扱を受けたブタ肉において、予測誤差が大きくなることが考えられる。

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