微生物に対する生体防御分子としてのディフェンシン : 節足動物、軟体動物及び菌類に由来するディフェンシンの特性

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  • ビセイブツ ニ タイスル セイタイ ボウギョ ブンシ ト シテ ノ ディフェンシン セッソク ドウブツ ナンタイドウブツ オヨビ キンルイ ニ ユライ スル ディフェンシン ノ トクセイ

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抄録

多細胞生物は、生息環境における多様な微生物の感染から効果的に生体を防御するため、自然免疫を発達させている。今日までに明らかにされた多数の抗菌ペプチドは、分子構造及び抗菌活性の類似性に基づき数種類の大きなグループに区分されている。特に、分子内のシステイン残基のジスルフィド架橋により安定化する抗菌ペフチドはディフェンシンと名付けられ、菌類、無脊椎動物(節足動物・軟体動物・線形動物)、植物及び脊椎動物(哺乳類・鳥類・魚類)から分離されている。菌類、無脊椎動物及び植物に由来するディフェンシンは、CSαβモチーフという安定化した高次構造を共有することにより特徴づけられる。脊椎動物に由来するβ、α及びθディフェンシンはそれぞれ異なる構造特性を示す。最近の研究により、新規ディフェンシンが菌類Pseudoplectania nigrellaから発見された。その菌類ディフェンシンは、アミノ酸配列、高次構造及びグラム陽性細菌に対する抗菌活性において、軟体動物及び節足動物に由来するディフェンシンと著しい類似性を示すことが明らかにされている。本総説では、節足動物、軟体動物及び菌類に由来するディフェンシンの構造、分子系統及び遺伝子発現等の特性について概説した。さらに理解を十分に深めるため、これら一群のディフェンシンの等電点、分子量、マルチプルアライメント及び分子系統に関して、バイオインフォマティクスによる解析データを示した。

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