最近の奄振法延長をめぐる動き : 人々の声をどこまで反映できるのか

書誌事項

タイトル別名
  • Recent developments concerning the extension of the Special Measures Law for the Promotion and Development of the Amami Islands : How far can the islanders' opinions be reflected
  • サイキン ノ エンシンホウ エンチョウ オ メグル ウゴキ : ヒトビト ノ コエ オ ドコ マデ ハンエイ デキル ノ カ

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説明

来年度(平成25年度)は,奄美群島の本土復帰から60年,奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の制定から59年が経過し,12回目の法延長の時期を迎える。この法律に基づく,奄美群島振興開発事業(奄振事業)によって,実に59年もの間,奄美群島の自立的発展ということを目標に,多額の公共投資がなされてきた。その総額は2兆2千億円を超え,多い年度では事業費べ一スで年間850億円超,国費ベースで590億円超の予算が計上されている。この奄振事業の効果として,奄美群島の港湾・道路・空港・都市計画・下水道等のハード整備は格段に進歩し,群島民の生活水準も高度経済成長とも相まって飛躍的に向上したと言える。しかし,他方で,この大きな経済の変容は,奄美の各集落を動かし,農村経営はもとより,生産組織,親族組織, 村落自治や祭祀の運営方法にいたるまで, 日常の住民生活を大きく揺るがしたことは事実である。奄振法が, 2013年度(H25年度)末で期限切れとなることを見据え, 法延長の実現と奄振事業の充実強化へ向けた動きが本格化してきた。特に県における奄美群島の在り方検討委員会, 市町村における奄美群島成長戦略懇話会の設置及び「奄美群島成長戦略ビジョン」の策定については, 新しい試みであり, 注目されるところである。奄美の持つ自然文化の優位性, 人々の生活の営みといったことがリアルに予算に反映される法延長を期待するものであるが, それらのことも踏まえて本稿においては, 研究・調査の良い機会ととらえ, まず, 最近の奄振延長をめぐる動きに着目しつつ, 奄振予算における公共事業, 非公共事業の在り方, 一括交付金化の考え方を提示し, 今後の課題を深く追求した。

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