スタンリー・カベルの「承認」概念が拓く道徳教育の展望 --日常性・懐疑論との関連から--

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タイトル別名
  • Stanley Cavell's "Acknowledgment" and Its Implications for Moral Education: In Relation to the Ordinary and Skepticism
  • スタンリー ・ カベル ノ 「 ショウニン 」 ガイネン ガ ヒラク ドウトク キョウイク ノ テンボウ : ニチジョウセイ ・ カイギロン ト ノ カンレン カラ

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説明

本稿では、アメリカの哲学者スタンリー・カベルの「承認」概念を分析する。カベルによれば、私たちは日常において自身の認識の様相を忘却しており、懐疑論の営みがそれを想起する契機となる。さらに、物に関する懐疑論と他者の心に関する懐疑論には非対称性が指摘でき、これに応じて私たちの認識にも、それぞれが想起させる二つの次元が存在する。すなわち、物事を一般的な形で認識する次元と、そうした認識論的条件への一人ひとりの住まい方としての個別的な「声」の次元であり、後者において承認が必要となる。そこでは、人間の認識論的有限性を批判するのではなく受容することによって、他者の声と私の声が、その必然的差異を認める形で同時に承認されることになる。こうした他者承認の在り方は、認識論的な他者理解に伴うナルシシズムの問題を超えるものであり、思いやりの育成が求められる現代の道徳教育に新しい展望を拓くのである。

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