「何も考えちゃいないさ。みてただけさ。」 ─鈴木清順監督作品『弘高青春物語』の表現─

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旧制弘前高等学校の卒業生である映画監督の鈴木清順(1923-2017)は、同校同窓会の求めに応じて一本の映像作品を残している。それが『弘高青春物語』である。同窓生たちの証言をメインにパッチワークのように編まれたこの作品は、旧制高校のありようを事後的に再構成したものとして理解すべきものであり、そこにとりわけ色濃く表出するのは在校生だった戦没者たちへの追悼の意志である。さらに、在校生の多くが県外出身者であった旧制高校であれば、それはまた彼らが見た津軽・弘前の表現であると同時に、鈴木清順の作品としても受容可能な本作は、彼の映像表現を検討する上でも有意義なものである。これらの観点から本稿では『弘高青春物語』を多角的に検討し、その特色を摘記する。

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