冬季の土壌凍結深制御による寒地タマネギ畑の土壌理化学性改善と生産性向上効果

書誌事項

タイトル別名
  • Controlling soil frost depth in winter soil to improve physical soil properties, suppress nitrogen leaching, and improve onion field productivity in cold regions
  • トウキ ノ ドジョウ トウケツシンセイギョ ニ ヨル カンチ タマネギバタケ ノ ドジョウ リ カガクセイ カイゼン ト セイサンセイ コウジョウ コウカ

この論文をさがす

抄録

北海道オホーツク地域のタマネギ畑において,冬季の土壌凍結深制御が窒素溶脱抑制および土壌物理性改善を介してタマネギの生産性向上に寄与することを明らかにした。無制御区の土壌凍結深が10cm程度以下と浅い年次(2016・2017年)では,最大凍結深を30cm台または40cm台とした制御区の融雪後の0~40cm土層残存無機態窒素量,30~40cm土層のpF3.0孔隙量(pF3.0の気相)および飽和透水係数は無制御区よりも大きかった。また制御区のタマネギは平均一球重が大きく,規格内収量は無制御区より1割程度多収であった。これはタマネギの主要根域(0~40cm)の窒素供給量の増加と,通気性,保水性,透水性などの物理性改善の相乗作用による生産性向上効果を示唆している。このような生産性向上効果は最大凍結深23~37cmの範囲で認められたこと,現実的な凍結深制御の精度幅が±数cmであることから,目標凍結深は30cm程度とするのが妥当である。ただし,窒素肥沃度が高い圃場では,凍結促進で窒素供給が過剰となり,濃度障害による生育抑制や乾腐病・軟腐病の被害で生産性向上効果が十分に発揮されない場合があるので,本技術の導入にあたっては適正な窒素管理が前提となる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ