20世紀の遺産遥かなる満州の地から時空を超えて21世紀日本の“多文化共生社会”のあり方を問う

書誌事項

タイトル別名
  • The Legacy of the 20th Century From the Faraway Land of Manchuria, Transcending Time and Space, Questioning the Nature of Japan's "Multicultural Society" in the 21st Century

抄録

2022年は旧満州国の建国から90年を迎える節目の年。1932年から中国の東北部にわずか13年間しか存在しなかった幻の国・「満州国」,日本の傀儡国家とも言われていた。その満州国で日本は,「五族協和」という建国理念の下,日本・満州・漢族・朝鮮・モンゴルの 5 つの民族が協力して,平和な国造りをし,共に生きていく,いわば「多民族・多文化共生」の社会づくりを推進していた歴史があった。あれから90年の歳月が経った。21世紀となった今,少子高齢化による労働力を補うために,多くの外国人労働力を受け入れるようになった。そして,文化の多様化に伴って,突如に“多文化共生2 )”を進めるようになった。本稿では,20世紀の遺産であり,国策として多くの開拓民の移住先となった,「満州国」の建国理念である“五族協和”の実態から,多くの民族が共に生きる21世紀における日本の“多文化共生社会”のあり方を問い,現在の日本と過去の満州国を繋ぎ,“五族協和”が不協和に終ってしまった遥かな満州の地から,今の“多文化共生”について学ぶものはないかついて概観する。

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