日本中世の禅林における囲碁の「文雅」化 : 「四皓・橘中」伝説の変容をめぐって
書誌事項
- タイトル別名
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- "Refinement" of the Go 碁 in Medieval Japan's Zen 禅 literature : Transformation of Sihao 四皓, Juzhong 橘中 Legends
抄録
本稿では、「四皓 ・橘中」伝説の日本における変容をめぐって、五山漢文学に注目し、中世の五山僧による日本特有な新しいイメージが囲碁に付与(則ち「文雅」化)された過程を明らかにしてみたい。 「四皓・橘中」伝説は中国でも多岐にわたり、宋元まで既に多様な変容を遂げたが、概ね「四皓囲碁」「四叟象戯(将棋)」「四皓橘中」という三つの系統に分けられる。五山僧はこの三つの系統を受け入れたものの、「仙隠」の代わりに「高隠」の側面を重んじる。 更に、五山僧は「仏をもって仙を釈す」という立場から仏教の理論を用いて「四皓・橘中」伝説を解釈し、新たな意味を与えて変容した。五山僧にとっては、「仙隠」や「高隠」よりも、仏法の奥義と囲碁の理論が通じていること(則ち「碁隠」)が重要である。つまり、囲碁に没頭するのは森羅万象の奥義を体得することになる。これは日本特有な囲碁「文雅」化のアプローチと考えられる。
収録刊行物
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- 国士舘人文科学論集
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国士舘人文科学論集 5 45-63, 2024-02-29
国士舘大学大学院人文科学研究科編集委員会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050862710134844544
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- ISSN
- 24355690
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB