<論文>現実との「劇的な衝突」から生まれる詩を巡って --ナチス占領期のチェスワフ・ミウォシュの場合--
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- 山本, 悠太朗
- 京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻
書誌事項
- タイトル別名
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- <Originals>On poetry born of “dramatic collisions” with reality: With a focus on Czesław Miłosz during the Nazi occupation
- 現実との「劇的な衝突」から生まれる詩を巡って : ナチス占領期のチェスワフ・ミウォシュの場合
- ゲンジツ ト ノ 「 ゲキテキ ナ ショウトツ 」 カラ ウマレル シ オ メグッテ : ナチス センリョウキ ノ チェスワフ ・ ミウォシュ ノ バアイ
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説明
戦後まもなく,詩人チェスワフ・ミウォシュと批評家カジミエシュ・ヴィカとの間に論争が起こる.ヴィカ曰く,ミウォシュの戦時中の詩には《一個人として美を追求すること》と《一市民として倫理的・道徳的価値を追求すること》が見られ,この二つの背反する《追求》のうち,詩人は専ら前者の《追求》の下で現実逃避をしていた.それ故,彼は詩人を非難したのである.こうした見方は現在でもそれほど有効性を失っていないが,他方でミウォシュは,背反する二つの《追求》など存在しないと応酬した上で,当時自らが書き得たものは現実との「劇的な衝突」によって生まれた「最も複雑な詩」だったと結論づけた.本稿では上記の論争を起点とし,二つの《追求》が背反して存在するということのない「最も複雑な詩」の内実を確認する.詩人が《一個人として美を追求》しているのだとヴィカが挙げる詩を中心に取り上げ,ミウォシュの応答にも注目しながら,とりわけ作品内のアイロニー表現や対比関係,抒情詩の主体を検討する.これによって《美を追求すること》と《倫理的・道徳的価値を追求すること》,そして《一個人》と《一市民》という枠組みがそれぞれ繋がっていることを明らかにする.最後にこのような特徴を持つ「最も複雑な詩」を,現実との「劇的な衝突」から生み出そうとしたミウォシュの目的を確認する.
収録刊行物
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- 人間・環境学
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人間・環境学 32 205-218, 2023-12-20
京都大学大学院人間・環境学研究科
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050863241233388800
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- NII書誌ID
- AN10409834
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- HANDLE
- 2433/287657
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- NDL書誌ID
- 033392524
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- ISSN
- 09182829
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- NDLサーチ