科学の適用限界を伝えるリテラシー教育(Session 4:科学リテラシィ・似非科学,科学としての科学教育,京都大学基礎物理学研究所研究会,研究会報告)

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タイトル別名
  • 科学の適用限界を伝えるリテラシー教育
  • カガク ノ テキヨウ ゲンカイ オ ツタエル リテラシー キョウイク

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抄録

東北大学では2004年,理科実験科目「自然科学総合実験」を開講した.理科系は約1,800名,2007年度開講した文科系は約50〜60名が毎年受講している.「弦の振動と音楽:文化の普遍性と多様性」は,その1テーマであり,旧来の理科実験とは質的に異なる企画意図からテーマ開発した.旧来の理科は,科学の普遍性を教え込むことに,その狙いの殆どがあったと思われるが,本テーマでは,普遍性と同時に科学の適用限界を伝えることを目標にした.科学の普遍性への誤った理解が,社会の中で科学全般に対する誤解,社会的判断の誤り,理科離れに繋がっているとの認識からである.学問の適用限界を正しく知ることは,その学問体系自体を正確に把握することに他ならず,社会との関連以前に,科学の本質を知るために不可欠であるとの認識にも基づく.むしろ,理科を専門としない文科系学生の理科教育では,断片的知識より,科学的方法論の把握こそが目標とされるべきであろう.実験では,学生自身が科学の普遍性と文化の多様性の関連,適用限界を,自ら「発見」できるよう教材開発を行った.実験の詳細は,出版されたテキストに譲り,本稿ではテーマ開発の背景について記してみたい.

収録刊行物

  • 素粒子論研究

    素粒子論研究 117 (4), D49-D57, 2009

    素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部

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