一過性前脳虚血後の体性感覚誘発電位の超急性変化について

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タイトル別名
  • Supraacute changes in the somatosensory evoked potential following transient forebrain ischemia in gerbils

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抄録

一過性の前脳虚血,再灌流後の電気生理学的な検討を行うために,体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential, SEP)を測定し,超急性期の変化について検討を加えた.スナネズミ12匹を用い,両側頸動脈の血流遮断が可能なように準備した虚血群と,対照として両側頸動脈を剥離のみした対照群を作製した.その後,局所大脳皮質血流量(regional cortical cerebral blood flow; r-CBF)と頭部温度をモニターし,誘発電位測定装置を使用してSEPを測定した.Baseline測定後,虚血群では5分間の一通性前脳虚血を負荷し,以後,再灌流超急性期である30分間の各パラメータ値の変化を観察した.結果,対照群ではsham操作30分後に,r-CBFの減少がみられ,虚血群では再灌流後にhyperemiaの状態が観察された.対照群におけるSEPの潜時は,baselineから再灌流30分後まで安定していたが,虚血群では再灌流にてSEPの波形は消失し,潜時の測定は不能となった.すなわち,SEPを用いた観察手法では,一過性の前脳虚血後の再灌流に伴う神経障害の程度の確認が困難であることが判明し,グルタミン酸など他の神経性因子や,血管性および血液性の因子を含めた様々な関与を総合的に検討する必要があると考えられた.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 67 (2), 201-204, 2004

    大阪歯科学会

参考文献 (10)*注記

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