カラマツ人工林化にともなう土壌化学性の変化 : 隣接する広葉樹林土壌との比較

書誌事項

タイトル別名
  • Changes in soil chemical properties by the conversion of natural deciduous broad-leaved forest into larch (Larix kaempferi) forest
  • カラマツ ジンコウリンカ ニ トモナウ ドジョウ カガクセイ ノ ヘンカ リンセツ スル コウヨウジュリン ドジョウ ト ノ ヒカク

この論文をさがす

抄録

カラマツ人工林化による土壌の化学性の変化を隣接する広葉樹林土壌と比較した。 A_0層の元素含有量の多少は,カラマツ林と広葉樹林で一定の傾向は認められなかった。カラマツ落葉の分解率(k)は0.19,広葉樹葉の分解率は0.29であり,カラマツ林では広葉樹林に比べて堆積有機物の分解に伴う鉱質土層への元素還元速度が遅いことが示された。鉱質土壌表層(O〜5cm)の全P,全Cおよび全N濃度は,A_0層の元素含有量や濃度に関係なく,カラマツ林の方が広葉樹林に比べて低く,それぞれ0.73倍,0.66倍および0.64倍であった。鉱質土層の交換性Mg,交換性Kおよび交換性Na濃度も同様に,カラマツ林の方が広葉樹林よりも低く,それぞれ0.36倍,0.34倍および0.28倍であった。カラマツ人工林化によって,堆積有機物の分解に伴う鉱質土壌への元素還元量が減少することにより,鉱質土壌表層の全P,C,N,交換性Mg,KおよびNa濃度は減少すると考えられた。しかし,交換性Ca濃度は,他の塩基類とは異なり,鉱質土壌表層では両林に差がなく,下層ではカラマツ林の方が広葉樹林に比べて高く,1.9倍であった。鉱質土壌中のN0_3-N濃度は,カラマツ林の方が広葉樹林に比べて高く,1.4〜2.4倍であった。カラマツ人工林化にともなう土壌中へのN0_3-Nの集積は交換性塩基類の流亡を促す可能性が考えられた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 47 (1), 29-37, 2005

    森林立地学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (38)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ