肝硬変症例における内視鏡的食道静脈瘤硬化療法の臨床的有用性―硬化療法未施行例との予後の比較を中心に―

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  • CLINICAL EVALUATION OF ENDOSCOPIC INJECTION SCLEROTHERAPY (EIS) IN PATIENTS WITH LIVER CIRRHOSIS : A RETROSPECTIVE ANALYSIS IN COMPARISON WITH PATIENTS NOT UNDERGOING EIS

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抄録

stageIII以上の食道静脈瘤を有する109例の肝硬変例(肝細胞癌合併例を含む)に対し,内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(以下,硬化療法)を行い,同時期の硬化療法未施行肝硬変症例を比較対照とし,硬化療法の臨床的有用性を検討した.硬化療法の緊急止血成績は硬化療法未施行例と比較して有意に高率であり,特に肝細胞癌合併例で差は著明であった.待期的硬化療法施行例は対照例に比して予後は有意に良好であった.肝癌非合併Child A,B肝硬変例では,予防的硬化療法により予後の改善がみられたが,肝癌非合併Child C肝硬変例では予後の差は有意ではなかったことより,予防的硬化療法の適応に関しては今後も検討すべきと思われた.また,硬化療法施行例の予後の改善には,硬化療法により静脈瘤を完全に消失させ,静脈瘤再発時には静脈瘤出血前に硬化療法を再施行することが,重要であった.

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