店舗へのコンバージョンが歴史的市街地の保全と活性化に与える影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Converted Shops on Conservation and Revitalization in Historic Urban Areas
  • A Case Study of Tanhualin Historic District in Wuhan, China
  • 中国・武漢市タンファリン歴史的街区を事例に

抄録

本研究は中国の歴史文化名城指定都市の保護地域で、市政府による街路沿道の一斉修景整備が実施された武漢市タンファリン地区を対象に、整備後に発生した商業転用の状況と、それに伴う建物改修・改造の詳細を明らかにするとともに、店主の歴史的環境保全に対する認識や、改修時の配慮等の把握を目的とした。観察調査、店主へのアンケート、関係機関へのヒアリングから以下が明らかになった。創造産業導入を機に若いオーナーによる飲食店や雑貨店などの若年層向けの店舗が集積し、地区の知名度が向上した。しかし店舗は修景整備の対象となった建物のコンバージョンによるものが多く、さらに店舗の個性を現すためにエントランス部の改造や看板設置、色とりどりの外壁彩色などが行われ、統一化が図られた沿道景観に影響を与えている。さらに来街者増とともに沿道景観ではなく周辺店舗との調和を目指す店主が増加し、個々のコンバージョン店舗で彩られる景観が定着してきている。個性的な店舗集積が地区の活性化に貢献しているものの、店主らが最も魅力に感じる地区の歴史的環境に影響を与えている状況にある。今後は出店調整のための用途制限等の対策も必要になると考えられる。

収録刊行物

  • 都市計画論文集

    都市計画論文集 52 (3), 1226-1231, 2017-10-25

    公益社団法人 日本都市計画学会

参考文献 (4)*注記

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