アデノウイルスを用いた遺伝子導入法

  • 沖米田 司
    熊本大学大学院 薬学研究科 分子機能薬学専攻 遺伝子機能応用学講座
  • 甲斐 広文
    熊本大学大学院 薬学研究科 分子機能薬学専攻 遺伝子機能応用学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Introduction of the conventional method of DNA transfection by adenovirus vector.
  • 実験技術 アデノウイルスを用いた遺伝子導入法
  • ジッケン ギジュツ アデノウイルス オ モチイタ イデンシ ドウニュウホウ

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説明

多くの製薬企業において,大量の化合物を一度にハイスループットスクリーニング(HTS)により薬効評価を行うようになった現在,HTSに適した評価系の確立が,企業における薬理学研究者の大きなテーマとなってきている.その確立には,目的の受容体や酵素の遺伝子を細胞内に導入し,機能性タンパク質を,大量かつ全ての細胞に安定的に高発現させる技術が必要である.一般に,安定発現株を作成するために,プラスミドやレトロウイルスベクターなどの発現ベクターを用いているが,遺伝子が染色体にランダムに組み込まれることにより予定外の結果が現れたり,その発現量をコントロールすることが困難であることから,特に,毒性のある遺伝子などには応用が難しい.しかしながら,プラスミドの発現ベクターを用いた一過性の遺伝子発現では,全ての細胞に発現させるのは困難であるだけでなく,HTSの際には大変な労力と資金が伴うことなどから問題が多い.このような問題を解決する一つの有用な手段として,アデノウイルスベクターによる遺伝子導入法がある.アデノウイルスベクターは,どのような細胞でも応用可能で,一過性であるにも関わらず比較的長時間(細胞によっては,2週間から2カ月)かつ全ての細胞に高発現させることができる.近年,毒性の少ない改良型アデノウイルスベクターが種々開発されてきているが,特許や共同研究などの制約があるものが多い.そこで,本稿では,誰でも容易に入手できる市販のアデノウイルス作成キットを用いてアデノウイルスを作成した際の我々の経験について,特に,その作成過程における注意事項について実際の知見も交えて概説する.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 119 (6), 337-344, 2002

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (27)*注記

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