白山のクロユリ,Firitillaria camtschatcensis (L.) Ker-Gawl.,の組織培養による増殖

  • 大谷 基泰
    石川県農業短期大学農業資源研究所植物細胞育種研究室
  • 島田 多喜子
    石川県農業短期大学農業資源研究所植物細胞育種研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Micropropagation of Fritillaria camtschatcensis (L.) Ker-Gawl., "Kuroyuri"
  • Micropropagation of Firitillaria camtschatcensis(L.)Ker-Gawl.,"Kuroyuri"
  • Micropropagation of Firitillaria camtsc

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抄録

クロユリ(Fritillaria camtschatcensis)は白山の代表的な高山植物の一つである。この種ら滅少しつつあると考えられており,白山の自然を保全していくために,それらの人為的な栽培・増妙法を明らかにする必要がある。白山室堂(標高2400 m)でクロユリを採集しその鱗茎葉および葉の切片を培養し試験管内での効率的な増殖方法を検討した。種々の濃度の植物ホルモンを添加したLS培地上で,鱗茎葉および葉の切片から小鱗茎葉(子球)が形成された。NAA 0.1mg L^<-1> またはpicloram 0.1mg L^<-1>添加された培地が最も有効で,90%以上の鱗茎葉切片で5個以上の子球を形成した。形成された子球は,ホルモンを含まないLS培地に移植し培養を続けると,約4ヵ月後に新軽重が約3倍に成長した。培地中の蔗糖濃度を3%から5%あるいは9%に増加しても,手球の成長には顕著な影響はなく,むしろ阻害的に働いた。さらに培養を続けると,子球は葉と根を形成した。生育した子球はバーミキュライトとパーライトを含むビニールポットに移植され人工気象室で栽培されている。白山のクロユリは,鱗茎葉の切片を,NAA 0.1mg L^<-1>またはpicloram 0.1 mg L^<-1> 含まれるLS培地で培養することによって,多くの子球を増殖できることが明らかとなった。

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