水辺植生における異種寄生性ヤナギさび病菌 <i>Melampsora chelidonii-pierotii</i> の種生物学

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タイトル別名
  • Species biology of a heteroecious rust, <i>Melampsora chelidonii-pierotii</i> in riparian vegetation
  • 水辺植生における異種寄生性ヤナギさび病菌Melampsora chelidonii-pierotiiの種生物学
  • ミズベショクセイ ニ オケル イシュ キセイセイ ヤナギサビ ビョウキン Melampsora chelidonii pierotii ノ シュ セイブツガク

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抄録

<p> 異種完生型さび菌の1種 Melampsora chelidonii-pierotii は,夏胞子・冬胞子世代をマルバヤナギ(Salix chaenomeroides),ジャヤナギ(S. eriocarpa)上で,精子・さび胞子世代をキケマン属のムラサキケマン(Corydalis incisa)上で過ごす.茨城県西部の小貝川,鬼怒川,桜川,菅生沼の水辺林とその周辺の植物群落において,ムラサキケマンの分布と本菌に対する感染株率を調査した.ムラサキケマンはヤナギ林内にはほとんど分布せず,ヤナギ林に隣接したクヌギ・エノキ林に広くかつ高密度で分布し,本菌が高頻度で感染していた.クヌギ・エノキ林内にも単木や少数のヤナギ類が混在する場合があり,周辺のムラサキケマンに高頻度で感染が起きていた.以上の結果より,調査地域一帯は本菌が生活環を全うするのに適した生息場所であると推測できる.また,ヤナギ林に隣接するクヌギ・エノキ林内には,キケマン属のジロボウエンゴサク(C. decumbens)が分布し,本菌が感染していた.ジロボウエンゴサクもムラサキケマン同様に精子・さび胞子世代宿主として機能していると考えられる.</p>

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