箱庭の「ぴったり感」について
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- 久米 禎子
- 鳴門教育大学
書誌事項
- タイトル別名
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- A “Sense of Fitness” in Sandplay
- 「ズレ」と「揺らぎ」の視点を加えて
説明
本稿は,箱庭制作者の「語り」を素材として,「ズレ」と「揺らぎ」を含む包括的な視点から,箱庭における「ぴったり感」の性質について論じ,その機能について仮説的に示すものである。「ぴったり感」とは,クライエントが内的イメージを適切に箱庭に表しているかどうかの程度を示す感覚である。 私たちが内的イメージを箱庭に表そうとするならば,即物的なレベルでの一貫性と正確さをいったん断念することが必要である。そのかわりに,私たちは古来より日本にある「見立て」を利用する。そして,五感を用いて,刻々と変化し続ける私たちの内的イメージを追い求める。「ぴったり感」は,ズレと揺らぎを含むダイナミックな動きであり,プロセスの推進力,イメージの変容,自分の相対化,全体性の回復への動きといった機能をもつと考えられる。箱庭の治癒力は「ぴったり感」によって進展するこのプロセスにある。
収録刊行物
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- 箱庭療法学研究
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箱庭療法学研究 28 (1), 19-32, 2015
日本箱庭療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204473094400
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- NII論文ID
- 130005124671
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- ISSN
- 2186117X
- 09163662
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可