組織融解や蒸発現象を伴うレーザー・光線力学療法の基礎理論

  • 松浦 弘幸
    国立長寿医療センター研究所(長寿医療工学研究部)
  • 中野 正博
    産業医科大学(産業保健学部)
  • 野田 信雄
    国立長寿医療センター研究所(長寿医療工学研究部)
  • 小井手 一晴
    国立長寿医療センター研究所(長寿医療工学研究部)
  • 伊藤 安海
    国立長寿医療センター研究所(長寿医療工学研究部)
  • 根本 哲也
    国立長寿医療センター研究所(長寿医療工学研究部)

書誌事項

タイトル別名
  • Photo-thermal therapy of Laser and Electromagnetic Waves : with histo-diffluence & histo-evaporation
  • ソシキ ユウカイ ヤ ジョウハツ ゲンショウ オ トモナウ レーザー コウセン リキガク リョウホウ ノ キソ リロン

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説明

光線力学療法における標的組織の融解や蒸発を伴う場合の温度と照射エネルギーの関係を表す基本式を提案した.電磁波の照射により組織温は上昇し続けるが,融点や沸点に達すると,標的組織の温度上昇が抑制させる.標的組織は水分に富んでいるために組織と組織駅の凝固点を-10℃,沸点を120℃,熱伝導率を10^<-3>cals^<-1>cm^<-1>,照射エネルギーを1000mW/cm^2と仮定すれば,標的組織は深さ方向へ約0.65cmの融解領域を持つと推測される.組織液の比熱を1g/cm^3deg,入射エネルギーを1000mW/cm^2,組織液の融点を-10℃,体温を37℃,組織液の沸点を120℃,組織液の融解,および気化の潜熱を各々,L_f=80cal/deg,L_v=539cal/degとすれば,蒸発により物質表面が後退する速度Vsは,3.5×10^<-6>m/s(3.5μm/s)と予測される.これにより1W/cm^2のエネルギーを照射することで,ほぼ細胞の一層分の除去が可能であることが判明した.この時,集光されたレーザー光線の直径を2mm,切断すべき組織厚を10mmとすれば,切断速度(走査速度)は約1μm/sと計算される.

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参考文献 (10)*注記

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