動物園鳥類および野生鳥類におけるPCR法による雌雄判別法の検討

  • 安永 千秋
    岩手大学農学部獣医学科臨床獣医学講座獣医臨床繁殖学研究室
  • 豊坂 加奈
    岩手大学農学部獣医学科臨床獣医学講座獣医臨床繁殖学研究室
  • 辻本 恒徳
    盛岡市動物公園
  • 斎藤 靖史
    岩手大学農学部附属寒冷バイオシステム研究センター
  • 大澤 健司
    岩手大学農学部獣医学科臨床獣医学講座獣医臨床繁殖学研究室
  • 三宅 陽一
    帯広畜産大学畜産学部獣医学科家畜臨床繁殖学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Examination of PCR Protocol and Utility of Various Body Parts as a Sample for Sex Identification in Captive and Wild Birds

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抄録

鳥類は外観による雌雄判別が困難な場合が多いため,繁殖計画を進める上で雌雄判別法の確立が必要である。そこで,鳥の異なる組織からのDNA抽出の可否を明らかにするとともに,様々な鳥種におけるPCR条件を確立する目的で,動物園鳥類および野生鳥類計8目12科45種218個体を対象に雌雄判別を試みた。血液,羽柄,羽軸,綿羽,胸筋,腐敗臓器,皮膚あるいは痂皮からDNA抽出を試みた結果,血液,胸筋,腐敗臓器および痂皮からは100%,羽柄からは98%の試料においてDNA抽出が可能であった。さらに,7種類のプライマーセットを用いてPCR法を行った結果,雌雄両方の性が既知である個体が得られた8目12科31種181個体中,175個体で雌雄判別が可能であった。一方,雌雄両方の性が既知である個体が得られなかった5目7科14種37個体中,7種10個体についてはPCR法で雌雄片方のバンド(性特異遺伝子増幅産物)のみが確認されたために雌雄判別には至らなかったものの,別の7種27個体については同種内において雌雄両方のバンドが確認されたために雌雄が推定された。以上の結果から,血液の他,羽柄からも高い確率でDNAの抽出が可能であり,種ごとにPCR条件を検討することで多くの種で性特異的な泳動パターンが検出できたことから,PCR法を用いた雌雄判別は飼育個体や野生個体を含む多くの異なる鳥種に適用できる方法であることが示された。

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参考文献 (17)*注記

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