電気透析におけるギ酸,酢酸,プロピオン酸,酪酸の膜透過挙動

  • 高橋 博
    秋田大学大学院工学資源学研究科 環境応用化学専攻
  • 菅原 涼子
    秋田大学大学院工学資源学研究科 環境応用化学専攻
  • 菊地 賢一
    秋田大学大学院工学資源学研究科 環境応用化学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Permeation Behavior of Formic, Acetic, Propionic, and Butyric Acids in Electrodialysis
  • デンキ トウセキ ニ オケル ギサン,サクサン,プロピオンサン,ラクサン ノ マク トウカ キョドウ

この論文をさがす

抄録

電気透析におけるモノカルボン酸の膜透過挙動を明らかにするために,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,酪酸を用いて実験を行い,膜透過速度におよぼす電流密度,溶液のpHの影響について調べた.実験で使用した4種類のモノカルボン酸の膜透過速度は,電流密度に比例して増加する傾向を示した.また,モノカルボン酸の膜透過速度は溶液のpHの影響を受け,pHが低い領域ではモノカルボン酸はほとんど膜を透過しないものの,その後pHの上昇に伴い急激に陰イオン交換膜を透過し始める現象が観測された.次に,モノカルボン酸を2成分さらには3成分を含む溶液を用いて電気透析を行った結果,膜透過速度はギ酸>酢酸>プロピオン酸>酪酸の順序で大きく,各モノカルボン酸は競争的に陰イオン交換膜を透過した.すべての実験結果は,溶液内のモノカルボン酸の解離平衡,溶液内の電気的中性条件,イオン交換膜と溶液間のイオン交換平衡,さらにはNernst–Planckの式に基づいた膜内の透過速度を考慮に入れたモデルにより解析を行った.その結果,実験結果の傾向はモデル解析の結果によりほぼ説明することができた.また,選択透過係数は,モノカルボン酸2成分,および3成分系における実験結果から求めた値がほぼ一致したことから,本実験条件範囲内においては,モノカルボン酸3成分系においてもそれぞれが独立に膜内を透過することが示唆された.

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (27)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ