醤油香味成分に関する研究(第24報)

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  • Studies on the Flavorous Substances in Soy Sauce. Part XXIV
  • α-Diketone Compound in Soy Sauce. (4)
  • α-ジケトン化合物(その4)

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抄録

(1) 醤油醸造過程における揮発性α-ジケトンの生成機構にっき,微生物による生成を中心とし検討して,その先駆物質であるAMC系列化合物が,実際醤油諸味中において酵母の活躍時期と一致して生成することを認めた.<br> (2) 醤油諸味醗酵過程におけるジアセチルの先駆物質AMCの生成変化,並びにアセチルプロピオニールの先駆物質AECの生成変化につき検討し,後者が増加の一途を辿るのに対し,前者は一度生成してから減少することを確かめ,醤油諸味の熟成に伴いその含有比率が近づくことを明らかにした.<br> (3) 醸造物中の新香気成分として確認したアセチルプロピオニールの先駆物質AECの酵母による生成を検討し,α-ケト酪酸及びピルビン酸を基質として醤油酵母(Sacch. rouxii)カルボリガーゼ作用により,同成分が生成することを確認した.<br> (4) 醸造用各種酵母においてもα-ケト酪酸及びピルビン酸を基質とした場合,そのカルボリガーゼ作用によりAECを生成することから,各種酵母のこのAMC系列化合物生成能を比較し, Saccharomyces属の酵母の中で醤油酵母(Sacc. rouxii)が比較的強い生成能を有することを明らかにした.<br> (5) 醤油酵母(Sacch. rouxii)の野生株を,そのAMC系列化合物生成能に基づき3つのグループに分類し,アルコール生成能との関係についても検討した.<br> (6)醤油酵母(Sacch. rouxii)によるα-ジケトンの生成機構としてアミノ酸生合成中間体よりの生成機構を推定し,feed back現象の確認よりこの生成機構の可能性のあることを指摘し,このことからジアセチル及びアセチルプロピオニールは同一の生成機構で生成することを再確認した.<br> (7) 醤油酵母(Sacch. rouxii)のα-ジケトン生成先駆物質, AMC系列化合物生成に及ぼす通気量及び食塩濃度の影響を検討し,若干の考察を付け加えた.

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